★ 総年俸が低かったのは、大分、鳥栖、仙台、福岡、徳島
★ コスパがよかったのは、鳥栖、福岡、大分、川崎、札幌
★ コスパが悪かったのは、神戸、G大阪、柏、横浜FC、名古屋
1位川崎、2位横浜FM、3位神戸がACL出場権を獲得した2021年J1リーグ。川崎フロンターレは2年連続4度目(最近5年間で4度目)の優勝で、今季も4試合を残して優勝を決めるなど、圧倒的な強さを誇っています。下位では昨年J2降格がなかったため、今季は4チームがJ2に降格するという条件の中、徳島、大分、仙台、横浜FCが降格となりました。
さて、各チームのお金(選手の総年俸)と年間勝点の関係はどうだったのでしょう。楽天マネーを豪快に投じているヴィッセル神戸のコスパが悪いことは想像がつきますが、もっともコスパのいいチーム、悪いチームはどこでしょうか(本サイトでは、リーグ開幕時の選手を基に総年俸を算出しており、移籍選手については加味していません)。
散布図でみると、やはりヴィッセル神戸が飛び抜けて総年俸が高いことがわかります。
今シーズン開幕時の推定年俸でみると、もっとも高い年俸をもらっているのがイニエスタ(32.5億)、2番目がフェルマーレン(5億)、3番目がドウグラス(2億)と、いずれもヴィッセル神戸の選手です。
神戸の総年俸は47億円超で、2番目に総年俸の高い名古屋グランパス(12.5億)の約3倍です。47億というのはあくまで今シーズン開幕時の推定総年俸で、シーズン途中で大迫(推定年俸4億)や武藤(推定年俸2億)を獲得しているため、総年俸はさらに高額になっています。
コロナの影響もあって各チームの経営が悪化し、総年俸も下がっていく中(たとえば浦和レッズの総年俸は、2020年の約16億から2021年には約11億に減額)、ヴィッセル神戸だけは異次元の高水準を保っています。
さて、年間勝点あたりの総年俸(総年俸÷勝点)を算出することによって、各チームのコスパを判断してみましょう。コスパ上位5チームは黄色で、コスパ下位5チームは水色で表示しています。
もっともコスパがよかったのはサガン鳥栖です。総年俸は大分に続いて2番目に低い3.3億ですが、リーグ7位と好成績を残しました。チームトップスコアラーの山下の年俸は700万円、それに次ぐスコアラーの酒井が1,000万円ですので、経営的には素晴らしい成績です。チーム内で最高年俸(2,500万円)のドゥンガ、オフォエドゥの両FWは不発に終わりましたが、日本人がそれを帳消しにする活躍をしました。ちなみに、イニエスタ1人雇うお金で山下464人雇えます。
つづくコスパ2位はアビスパ福岡です。総年俸が全体で4番目に低い4.4億ながら、8位という高順位につけました。それほど高額ではない外国人助っ人(ファンマやサロモンソン)が期待通りの活躍をしました。なお、4.4億円の中には、期限付き移籍で加入したチームトップスコアラーであるジョン・マリの年俸が含まれていないため、実際の総年俸はもう少し上がります。
コスパ3位には、大分トリニータが入りました。ビリ3でJ2への降格の決まった大分ですが、総年俸がJ1でもっとも低かったため、コスパで見ると3位になりました。もう少し選手にお金を使っていい選手を獲得していれば、残留できていたかもしれません。前年は同じくらいの総年俸で11位という順位につけていたのですが、今年はそうはいきませんでした。
では、コスパの悪いチームを見ていきましょう。コスパが最悪なのは、ヴィッセル神戸です。1勝点あたりの年俸は6,000万円超えでダントツの低コスパです。ちなみに、ヴィッセル神戸は総年俸が高すぎるため、仮に川崎フロンターレと同じ年間勝点92を獲得していたとしても1勝点あたりの年俸は5,000万円を超え、コスパは最低となります。ヴィッセル神戸は楽天マネーを注ぎ込むことによってコスパ度外視の運営をしているため、こうしたランキングで格付けするのはナンセンスかもしれません。
ヴィッセル神戸につづいてコスパの悪かったチームはガンバ大阪です。総年俸はJ1で3番目に高額ながら、13位と下位に沈みました。今シーズン開幕当初からチーム内でコロナが蔓延する不運に見舞われ、タイトなスケジュールで試合をしなければならなかった影響もあり、勝ち星を重ねることができませんでした。もっとも高額で雇っていたレアンドロペレイラ(1.3億)も、年間5ゴールとイマイチな成績でした。
3番目にコスパが悪かったのは柏レイソルです。総年俸は全体7位でしたが、リーグ順位は15位と低迷しました。高額で雇っていたドッジ、アンジェロッティあたりが期待していたほどの活躍をしてくれなかったと言えるでしょう。
ちなみに、もともと3億円だったJ1の優勝賞金が、コロナの影響で2020年は半額の1億5,000万円に引き下げられましたが、2021年は再び3億円に戻りました。また、順位にかかわらずJ1全チームに配分される均等配分金は昨年度と同じ3.5億円です。
優勝賞金3億円で計算すると、11回優勝すればイニエスタの年俸が支払えることになります。イニエスタ恐るべし。
もちろんチーム力を決するのは、選手だけではありません。サポーター、監督をはじめとしたスタッフ陣、スポンサー企業などのさまざまな要因がチームの総合的な力を左右します。コスパを判断するといっても、総年俸と勝点の関係はあくまでひとつの側面にすぎません。あしからず。
コメント