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タイトル | 人口論【An Essay on the Principle of Population】 |
著者 | トマス・ロバート・マルサス【Thomas Robert Malthus】(1766-1834) |
原作出版年 | 初版1798年(初版は匿名で出版) |
目次(リンク)
序文 | |
第1章 | - 問題提起
- 意見対立のせいで問題の解決が見通せないこと
- 人間と社会の完全性に否定的な主張には、明確な反論がなされていない
- 人口増加がもたらす問題の本質
- 本書の主張の概要
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第2章 | - 人口と食糧の増加率の違い
- 増加率の違いが必然的にもたらす帰結
- 揺さぶられる下層階級の生活
- この揺さぶりが注目されてこなかった理由
- 本書の主張の根底にある3つの命題
- 人類が抱えてきた諸課題に対する3つの命題に依拠した検討
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第3章 | - 未開人や狩猟民族について
- 遊牧民族やローマ帝国を侵略した蛮族について
- 最低限度の生活を圧迫する人口増加
- 北方移民の大移動の原因
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第4章 | - 文明諸国の現状
- 現ヨーロッパはカエサルの時代よりも人口が多いという可能性
- 人口についての最良の基準
- 人口推計についてヒュームが提案した基準が誤っている可能性
- 現ヨーロッパ諸国における人口増加の鈍化
- 人口増加に対する2つの抑制策
- 1つ目の抑制策の検討:イングランドにおける事前予防的人口抑制策
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第5章 | - 2つ目の抑制策の検討:イングランドにおける積極的な人口抑制策
- 貧困層のために集められた莫大な金額が、彼らの生活を改善しない真の原因
- 救貧法が本来の目的から外れていく強力な傾向
- 貧困層の苦難を緩和する策の提案
- 下層階級をますます貧しくする圧力は、人間の本性から生じるものであり避けることができない
- すべての人口抑制策は、貧困と悪徳にわけられる
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第6章 | - 新しい植民地
- 植民地の人口増加が速い理由
- 北米の植民地
- 奥地の植民地における人口急増は異例
- 古来の国であっても、戦争、疫病、飢饉、天災による被害からの復興は速い
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第7章 | - 伝染病の原因と考えられるもの
- スースミルチ氏の統計表の抜粋
- ある場合には、疫病が周期的に訪れる可能性がある
- 短期間の出生数と埋葬数の比率は、平均人口増加の基準として不十分
- 長期間の人口増加の最良の基準
- 中国とインドにおける飢饉の一原因は、極度の倹約
- ピット氏が提案した救貧法の悪しき傾向
- 人口増加を促進する唯一の適切な方法
- 国民の幸福の諸要因
- 飢饉は、自然が過剰人口を抑制する最も恐ろしい最終手段
- 確立されたと考えられる3つの命題
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第8章 | - ウォレス氏
- 人口増加から生じる困難は、対岸の火事ではない
- コンドルセ氏が描く人間の精神の進歩
- コンドルセ氏が述べた揺さぶりが人類に適用されるべき時期
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第9章 | - コンドルセ氏による人間の有機的完成および人間の寿命の無期限延長に関する推測
- 部分的な改良から無制限の進歩を推測する議論の誤りを、家畜の改良と植物の栽培を利用して明らかにする
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第10章 | - ゴドウィン氏の平等のシステム
- 人類のすべての悪徳を社会制度のせいにすることの誤り
- 人口増加から生じる困難に対するゴドウィン氏の最初の回答はまったく不十分
- ゴドウィン氏の美しい平等のシステムが実現可能かに関する考察
- 単純な人口の原理によって、それはわずか30年で完全に崩壊する
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第11章 | - 男女間の情熱の将来的な消滅に関するゴドウィン氏の推測
- そのような推測の明白な根拠はほとんどない
- 愛の情熱は理性とも美徳とも矛盾しない
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第12章 | - 人間の寿命が無期限に延びるというゴドウィン氏の推測
- 精神への刺激が人間の骨格に及ぼす影響に関する誤った考え方をさまざまな例で示す
- 過去の傾向に基づかない推測は非学問的
- 人間が不死に近づいているとするゴドウィン氏とコンドルセ氏の推測は、懐疑主義の矛盾を示す奇妙な例である
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第13章 | - ゴドウィン氏の誤りは、人間を単に理性的な存在と考えすぎていることである
- 人間は複雑な存在であり、欲望は常に理解の決定を妨げる力として作用する
- 強制についてのゴドウィン氏の推論
- 人から人へ伝えられない性質の真理もある
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第14章 | - 政治的真理に関するゴドウィン氏の5つの命題は、彼の立場の土台であるが、十分に確立されていない
- 人口の原理によって引き起こされる貧困を、人間の悪徳と道徳的弱点から引き離すことができないと考える理由
- ゴドウィン氏が言うところの人間の完成可能性は、人間には当てはまらない
- 人間が本当に完全な性質を持ちうるかについての説明
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第15章 | - 完璧すぎるモデルは、時には改善を促進せず、むしろ阻害することがある
- 「貪欲と浪費」に関するゴドウィン氏の小論
- 社会で必要な労働をすべての人に友好的に分配することは不可能
- 労働批判は、現実を悪くするだけで、将来を改善する可能性はほとんどない
- 農業労働者を増やすことは労働者にとって利益になる
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第16章 | - アダム・スミス博士が、社会の収入やストックの増加をすべて労働賃金に充てる資金の増加と表現したのは、誤りであった可能性が高い
- 国が豊かになっても、労働貧困層の生活が改善しない実例
- イングランドでは、国は豊かになったものの労働賃金に充てる資金はそれに比例して増加することがなかった
- 中国の貧困層の生活は、工業で国を豊かにしても改善されないだろう
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第17章 | - 国の豊かさの適切な定義についての疑問
- フランスの経済学者が、工業を非生産的な労働とみなしたのは誤りである
- 職人や製造業者の労働は、国家にとってはそうでなくても、労働者にとっては十分に生産的である
- プライス博士の『観察記』の注目すべき一節
- アメリカの幸福と急速な人口増加を、主としてその特殊な文明に起因するものとしたプライス博士の誤り
- 社会の改善に立ちはだかる困難から目をそらしても何もいいことはない
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第18章 | - 人口の原理から生じる、人類に対する絶えることのない苦痛の圧力の下では、将来に希望を見出す以外にない
- 人生が試練である状態は、神の先見性に対するわれわれの考えと矛盾する
- 世界はおそらく、物質に精神を与えて目覚めさせるための強大な過程である
- 精神の形成に関する理論
- 肉体の欲求による刺激
- 一般法則の作用による刺激
- 人口原理から生じる生活の困難さによる刺激
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第19章 | - 人生の悲しみは、心を和らげ、人間らしくするために不可欠である
- 社会的共感への刺激は、しばしば凡人以上の人格を生み出す
- 道徳上の悪は、おそらく道徳上の善を生み出すために必要なものである
- 自然の無限の多様性と形而上の問題の困難さが、知的欲求を絶えまなくかきたてる
- この原則に基づいて説明されるべき神の啓示の困難さ
- 聖典が含む程度の神の証拠が、人間の能力を向上させ、人類を道徳的に改善するのに最善である
- 精神は刺激によって作られるという考え方は、自然悪や道徳的悪の存在を説明しているように思われる
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